福島警戒区域の発動と残された動物たちの救助について

4/26 追記
20km以内のまだ衰弱していない動物たちの命を救おう、というオンライン署名運動が始まりました!
4/23 追記
国際動物福祉基金から、以下のアナウンスがありました。

IFAW(国際動物福祉基金)が福島原発20km以内を含む動物救済サミットを東京で開催
避難区域への動物レスキューのための入域を求める嘆願署名サイトへのリンク
※原発近くで活動されるボランティアの方は、この記事の後半をご覧下さい。
Here is English announcement with videos and photos !
最悪の可能性は考えたくないですが……
残念ながら、事態は逼迫しており、このままでは、福島原発20km以内のペット、家畜の保護・救済活動が全く行えなくなる可能性が非常に高いです。
本日深夜、警戒区域は封鎖され、ボランティアが入れなくなります。
そうなると、現地で飢えと乾きに苦しみ、仲間の死屍累々の中で生き抜いてきた動物たちも、確実に餓死の運命となります。
水を貰えない餓死がどれほど苦しく残酷なものかは、皆さんもご存知かと思います。
救えないなら、せめて安楽死を与えるべきです。
問題は、そのための安全が確保できるか。それを解決するには、政府の協力が必要です。
詳細は、「新庄動物病院の掲示板」の以下のエントリーをご覧下さい。
福島第一原発周辺の動物たち その7
(その1からありますが…全部読むのはなかなか辛いです……)
現地で、動物たちのために活動しておられる皆様に、本当に頭が下がります。
一方で、我々にも出来ることはあります。
動物たちがおかれている窮状を訴え、世論を動かすことです。
動物にかかわっている場合ではない、という人が居ることも承知しています。
しかし、今わずかに残っている動物たちの、地獄の苦しみを、ボランティア達が取り除いたからといって、どれだけの人間が不利益を被るのか、考えてみて欲しい。
その不利益が、本当に餓死の苦しみとバランスするものか、ということも。
というわけで、政府に嘆願メールを送ってみました。
以下のページから政府に意見を送ることができます。
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

私は、こんな文面を書いて送りました。
(すみませんが、要望を送られる方は私の文面のコピペはご容赦下さい。
皆様のご意見を代表できるような立派なものじゃないので…(^^;))

テーマ
福島第一原発警戒区域に、動物レスキューのボランティアが入れるようご配慮をお願いします
ご意見・ご要望
福島第一原発20km以内の警戒区域指定に際し、住民の一時帰宅の許可に合わせ、是非取り残されたペットや家畜達のためのレスキューボランティアが一時入域出来るよう、ご配慮をお願い致します。
現時点でまだ生き残っている動物がおり、室内に閉じ込められた動物達は餓死寸前の一刻を争う状態です。
極限状態の中、仲間同士で、一部共食いが起きているという報告もあります。
動物に、食料、水を与えず餓死させることは、例えばアメリカでは多くの州で動物虐待の刑事罰に相当する事例です。
未曾有の非常事態とはいえ、政府が動物愛護ボランティアの出入りを禁じ、結果として家畜や残されたペット等を全て餓死させた、ということになれば、国際的にも強い非難を浴びる恐れがあります。
(居住者の一時入域は認める、ということであれば、尚更です)
また、野犬化しつつある犬や、家畜の屍が、危険な伝染病の病巣とならないとも限りません。
警戒区域に指定された後も、獣医師など専門家による継続的な現地の視察と対策検討が必要です。
アメリカのハリケーン・カトリーナ被災地でも、政府、行政にはなかなか現地で動物たちを救済するまでの余力はなく、残された動物たちを救う陣頭に立ったのは、民間の動物愛護団体や獣医師達でした。
放射線量が落ち着いている今こそ、政府、行政と民間、ボランティアが力を合わせ、役割分担をして迅速に行動を起こすべきと思います。
重ねて、どうぞご配慮下さいますよう、お願い致します。

あと、ツイッターのNHKかぶん(アカウント名 @nhk_kabun)でも、ちょうど震災でツィッターが最も役に立ったことは何か、と過去形で書かれた質問が投げられていたので、「ツィッターまだ必要です! 一ヶ月以上水も食料も貰えない家畜やペットがまだ生き残っています」とメッセージ添えて、上記リンクつけて、返信しときました。
かぶんは結構レス見てくれてるみたいなので、もしかしたら、皆でやったらニュースで取り上げてくれないかなあ。
とにかく、世論を見方につけましょう!


ここから先は、原発近くで活動されているボランティアの皆様に届きますように、と願いつつ書きます。
実際に動物たちの命をつなぐために活動されてきた皆様に、遠くからで申し訳ありませんが、心から感謝を送ります。
もしボランティアの警戒区域内入域が認められることになれば、おそらくまた現地へ赴かれるものと思います。
どうか、その際には、是非放射線に対する十分な知識をもち、決して甘くみないで、十分に準備して下さい。
このようなお願いをするのは、上記の今本先生のブログの別エントリーの中の以下の記述が、大変気になったからです。

『現場から出て、スクリーニング検査を受けると、被曝線量はそれほどありませんでした。
1,2ミリシーベルト程度。しかし、軽装であれば、倍近くになるみたいです。』

白状すると、私は、この値にびっくりしました。
相当、原発に近い場所まで行かれたのではないか、と……
現在、原発から15キロメートルより外では、北西の線量の高い地域を除き、1年いても20ミリシーベルトまでの被爆量、という計算のようです。(1000mrem = 10ミリシーベルト)
NNSA First Year Dose Estimate
上スライドの3枚目の絵で、赤い部分が、1年滞在した場合に、20ミリシーベルト以上浴びると予想される地域です。
ご覧のとおり、赤い部分は30kmの同心円の外にもあります。
ちょっとギョッとする絵ですが、逆に言えば、普通に滞在するなら、赤い場所でも、すぐに健康被害があるというほど危険ではない、ということになります。
ですので、今本先生の上の記述を見るまで、私も多少中に入って様子を見るくらいどうということはない、と思っておりました。
しかし、1ミリシーベルトという数字がもし間違いでなければ、局地的に放射能濃度がかなり高い地域があるか、畜舎で水をあげたりする時に巻き上げた土ホコリがかなり放射化されているか、のどちらかだと思います。
なんとか今本先生ご本人に、この数字が間違いではないか確かめたいとコメントしてみましたが、とてもお忙しいのか、現在に至るまで返信はありません。
従って、ここでは悪いケース、つまりこの数字が正しい、という仮定で話をすすめたいと思います。
4/22 追記
以下の記事にも、「土壌近くの放射線量は10msv/hをこえる汚染地域」との表現がありました。
http://fotgazet.com/news/000078.html
従って、今本先生の数字は正しいと思われます。

この1、2ミリシーベルト、という値が、文字通りご本人の被爆線量であればまだ良いのですが、これがもし、スクリーニング検査でかかった値だとすると、出るときに衣服などについていた放射性物質から放出される線量ということになります。
もしそうだとすると、あまり楽観視できる量ではない、と私は思います。
なぜなら、この値に、実際に30km圏内で活動していた時間数をかけたものが、およその被爆量になると思われるからです。
(勿論、詳しいことは線量計をつけて入らねば分かりませんが。上のNNSAのスライドが示す通り、30km圏内でも、かなり放射線濃度に濃淡があることが分かっています)
たとえば、現地に5時間いたとしたら、およそ5〜10ミリシーベルト。
放射線業務従事者が許される年間被ばく量は50ミリシーベルトですから、5回〜10回現地に赴けば、年間線量を使い切ってしまう計算です。
50ミリシーベルトというのは、勿論、これを超えたらすぐに影響が出る、という値ではありません。
しかし、放射線業務従事者は、この被爆線量を厳重に管理された上、年に2回、血液検査をして白血球の数をモニタされております。
本来、そのような管理におかれるべき被爆量の10%〜20%を、もし本当に一日で浴びてしまうことも有り得るのだとしたら、線量計もつけずに長期間内部で作業をすることは、国としてもなかなか認められないものだと思います。
以上が、上記のお願いの根拠です。
もし政府から入域許可が出ても、決して油断しないようお願いします。
万が一しきい値を超えて被爆するようなことがあれば、これが悪い前例となり、次には動物は全て見殺しにせよとの論調の根拠に使われかねません。
(もうすぐ入れなくなりますが……正直、無理矢理入る方もいるのではないか、と恐れています。私はそういう無理矢理な手段は決して良いとは思いません。が、敢えていうなら、一番まずいケースがあるとしたら、そういう方々が、万が一50ミリシーベルトを超えて被爆をしてしまった場合だ、ということです)
こんなことを、今更数度放射線業務従事者の講習を受けただけの、素人に等しい私が言う必要はないでしょうが、一応、最低限、守って頂きたいと思うことを書いておきます。

  1. きちんと厚手の服、帽子、手袋などで肌を隠してマスクをする。汗をかいても絶対に脱がない!
  2. 原発から20km以内の場所では、飲食はしない。食事をするときはその外で。
  3. 足下の埃をあまり多く巻き上げないよう、静かに行動する。(今本先生の報告の中に、靴底からはより高い線量が検出されたとあります。土砂が放射化していますので、これをもうもうと巻き上げるような事は極力避ける。)
  4. 風向きに注意し、可能な限り原発の風下に立たない。(これは、万が一突発的な放射性物質の放出が発生した場合に、風下で放射線量の高い空気を浴びないため。)
  5. NNSAの地図を持参し、放射線量が高い場所に入る時間を可能な限り短くする。
  6. 出る時にスクリーニングを受けて外に放射能を持ち出さない。


なるべく対応して欲しいことは以下の通りです。

  1. 放射線管理に詳しい人に協力を仰ぎ、行動グループに引き込む。
  2. 各自線量計をつけて、被爆量を管理する。
  3. 各自線量計が手にはいらないなら、グループに一つでも、その場で放射線量を計れる器具を用意して、局所的に線量の高い場所を避けて行動する


放射線は目に見えないため、必要以上に恐れられて混乱をきたすこともありますが、逆に甘くみてしまって危険に陥ることもあります。
どうか、可能な限りの自衛手段を高じてくださるよう、お願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA